という悩みを解決する記事になっています。
生命保険の募集人から、「生命保険に入ると税金が安くなってお得ですよ!」と言われて勧誘された経験ありませんか?
税金が安くなるなら・・・と簡単に返事してはダメですよ!(笑)
生命保険と税金が、どう関係しているのか分かってからでも遅くありません。
結論を先に言ってしまうと、『生命保険料控除』という所得控除の制度を利用することで税金が安くなります。
内容としては、生命保険料控除の仕組みや控除額の計算方法、また、どのくらい税金が安くなるのかといった具体例を挙げています。
少しでも税金を安くしたい人は必見です!
生命保険料控除とは
所得控除の1つです。
年間で支払った生命保険料に対して、一定の金額がその年の収入から引かれます。

生命保険料控除の仕組み
生命保険料控除は3種類あります。
・一般生命保険料控除
・個人年金保険料控除
・介護医療保険料控除
一般生命保険料控除
生存と死亡に伴う保険金・給付金を支払う部分の保険料について受けられる控除。
対象:死亡保険、学資保険、収入保障保険
個人年金保険料控除
税制適格特約を付加した個人年金保険の支払保険料について受けられる控除。
介護医療保険料控除
入院・通院などに伴う給付金を支払う部分の保険料について受けられる控除。
対象:医療保険、がん保険、介護保険
生命保険料控除の改正

2011年(平成23年)までの契約を旧制度、2012年(平成24年)からの契約を新制度として、生命保険料控除の控除金額が改正されました。
新制度
区分:一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除
控除額:全部合わせて所得税が最大120,000円、住民税が最大70,000円
旧制度
区分:一般生命保険料控除、個人年金保険料控除
控除額:全部合わせて所得税が最大100,000円、住民税が最大70,000円
新制度では介護医療保険料控除が新設され、制度全体の適用限度額(所得税)が変更になりました。
生命保険料控除額の計算方法
控除額の計算方法は、新制度と旧制度で変わります。
新制度の生命保険料控除額
所得税(一般・個人年金・介護医療それぞれに適用) | |
年間支払保険料 | 控除額 |
~20,000円 | 支払保険料と同額 |
20,001円~40,000円 | 支払保険料✕1/2+10,000円 |
40,001円~80,000円 | 支払保険料✕1/4+20,000円 |
80,001円~ | 一律40,000円 |
※一般・個人年金・介護医療あわせて120,000円が限度
住民税(一般・個人年金・介護医療それぞれに適用) | |
年間支払保険料 | 控除額 |
~12,000円 | 支払保険料と同額 |
12,001円~32,000円 | 支払保険料✕1/2+6,000円 |
32,001円~56,000円 | 支払保険料✕1/4+14,000円 |
56,001円~ | 一律28,000円 |
※一般・個人年金・介護医療あわせて70,000円が限度
旧制度の生命保険料控除
所得税(一般・個人年金・介護医療それぞれに適用) | |
年間支払保険料 | 控除額 |
~25,000円 | 支払保険料と同額 |
25,001円~50,000円 | 支払保険料✕1/2+12,500円 |
50,001円~100,000円 | 支払保険料✕1/4+25,000円 |
100,001円~ | 一律50,000円 |
※一般・個人年金あわせて100,000円が限度
住民税(一般・個人年金・介護医療それぞれに適用) | |
年間支払保険料 | 控除額 |
~15,000円 | 支払保険料と同額 |
15,001円~40,000円 | 支払保険料✕1/2+7,500円 |
40,001円~70,000円 | 支払保険料✕1/4+17,500円 |
70,001円~ | 一律35,000円 |
※一般・個人年金あわせて70,000円が限度
旧制度では、介護医療保険料控除は一般生命保険料控除に含みます。
新制度と旧制度の両方がある場合
一般生命保険料控除と個人年金保険料控除に関して新制度と旧制度の契約がある場合は、控除ごとに次の3つのいずれかを選べます。
➀旧制度のみの契約で申告
➁新制度の契約のみで申告
➂両方の契約で申告
➂の場合はそれぞれの所得控除限度額が所得税40,000円、住民税28,000円になります。
また、全体の所得控除限度額は所得税120,000円、住民税70,000円です。
税金はいくら戻ってくる?

生命保険料控除は所得控除なので、生命保険料控除額全額が戻ってくるわけではありません。
控除適用額に対して、所得に応じた税率をかけた額が戻ってきます。
モデルケースで実際の還付額を確認してみましょう。
Aさん(※いずれも新制度で加入していると仮定)
年収 500万円
課税所得金額 356万円
年間支払保険料
一般生命保険 9万円
個人年金保険 3万円
介護医療保険 7万円
【控除適用額】
所得税控除額 | |
一般生命保険 | 40,000円 |
個人年金保険 | 25,000円(30,000円✕1/2+10,000円) |
介護医療保険 | 37,500円(70,000円✕1/4+20,000円) |
所得税控除額計 | 102,500円 |
最終所得税控除額 | 102,500円 |
住民税控除額 | |
一般生命保険 | 28,000円 |
個人年金保険 | 21,000円(30,000円✕1/2+6,000円) |
介護医療保険 | 28,000円 |
住民税控除額計 | 77,000円 |
最終住民税控除額 | 70,000円 |
上記の控除適用額(所得税控除・住民税控除のそれぞれ)に該当する課税所得の税率をかけると、実際の還付額が計算できます。
【所得に応じた税率】
課税所得金額 | 税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円超~330万円以下 | 10% |
330万円超~695万円以下 | 20% |
695万円超~900万円以下 | 23% |
900万円超~1,800万円以下 | 33% |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
【実際の還付金】
所得税分の還付額 | 20,500円(102,500円✕20%) |
住民税分の還付額 | 14,000円(70,000円✕20%) |
生命保険の還付額計 | 34,500円 |
このモデルケースでは、年収500万円のAさんが保険料を年間19万円支払うと税金が34,500円安くなりました。
生命保険料控除の申告手続き

生命保険料控除を受けるには、保険会社が発行する『生命保険料控除証明書』が必要です。
サラリーマンの場合
サラリーマンは年末調整で申告できます。
「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」に生命保険料控除証明書を添付して勤務先に提出すればOKです。
自営業者の場合
確定申告時に生命保険料控除証明書を添付すればOKです。
申告時に注意すること
生命保険料控除の対象外となる保険契約
新制度では、傷害特約や災害割増特約などの身体傷害のみに対して保険金が発生する保険契約は対象外になりました。
そのため生命保険料控除証明書の金額と実際に支払った保険料が違う場合があります。
この場合は、生命保険料控除証明書に書かれた金額で申告します。
紛失した場合
生命保険料控除証明書がないと生命保険料控除は受けられません。
保険会社に依頼すれば再発行してくれます。
おわりに
本記事は、生命保険料控除の仕組みや計算方法、また実際にどのくらい税金が安くなるのかについて書きました。
・生命保険に加入することで税金が安くなる
・新制度と旧制度で生命保険料控除の計算方法が変わる
・生命保険料控除を受けるには、年末調整か確定申告をする
生命保険は本来の目的をきちんと持った上で加入しましょう!
生命保険の勧誘の断り方を知りたい方は、こちらの記事をどうぞ!
